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アクシブ歩行機 [鎌倉つれづれ文]

ハイキング.jpgTBSテレビで、歩行機に関する興味深い番組を見ました。
その番組は、世界遺産の熊野古道での体験実験から始まりました。

体験実験は、ボランティアガイドをしている60歳以上の人達に装具をつけて山道を歩いてもらい、感想を求めるものでした。
被験者の感想は、「上り坂は、とても楽に歩くことができた。」とか「いつもより足運びが軽く感じられた。」など好意的なものが多数寄せられました。
体験者の多くが「歩くのが楽になった。」と口を揃える歩行機がアクシブ。
このアクシブは、世界初の無動力歩行支援機で、重さは、わずか900gという軽さに皆驚くといいます。
この歩行支援機、「アクシブ」を開発したのは、名古屋工業大学佐野明人(サノ・アキヒト)教授です。
※佐野氏が歩行器ではなく、歩行機と表記してますので、以下歩行機と表記します。

アクシブは、股関節から膝につながるバネの伸び縮みで足を振りだすことを利用した単純な構造でできているのですが、それ以上に大きな成果をあげています。
77歳の女性も、「誰かに助けてもらったように楽に上り坂を登れました。」と山をグングンとかけ上がりました。

この歩行機には、佐野教授が歩くことに培った、30年間の研究成果が活かされています。
佐野教授の研究室には、歩く研究に絶対に欠かせない、自然に歩き出す鉄製の自立型ロボットが置かれています。
教授が手をはなすと、そのロボットが歩き出します。
教授は、「このロボットの一部分を体に装着したものが歩行支援機になります。
ロボットも人間も、歩く仕組みは同じだと思うのですが、人間は、その仕組みを上手に自分の歩きに使っているのだと考えています。」と説明します。
しかし、なぜ人は二足歩行ができるのか、その歩く原理はいまだ解明されていません。
研究室では、学生とロボットが散歩する姿がよく見られます。
しかも、そのロボットにスカートやズボンをはかせたり、雪道や雨のなかを歩かせたりとよそからみると奇妙でバカバカしい実験を真剣におこなっています。
これも佐野流の歩く原理の研究であり、思い立ったことの全てが研究テーマなのです。

広い視野で考えると、右足が地面に着くと左足が上がるという単純な法則が見えてきます。
例えば、坂道を転がることなく、人は一定の速度で歩くことができます。
これを分析すると歩く原理が見えて来るというのです。
前の足が着いたら、後ろの足が浮き自然に切替る、左右の足が振り子のように振りだされる、そして足を着いた時の力のバランスが取れている、佐野教授は、この原理でロボットに傾斜を歩かせ、さらに歩行支援機に応用しました。

教授は、「過去、現在、そして未来という長い時代の中で、歩く原理は不変的だと思うので、百年後の未来にも充分貢献できる研究だと思います。」とその意義を説明します。
つまり、人が歩く原理を究めれば百年後も楽しく歩けるということです。

rihabiri.gifそこで佐野教授は、ロコモティブシンドロームなどで、運動機能の低下や障害で足などが弱り、要介護となった方々と歩くリハビリをしている患者さん達に、アクシブが役に立たないかと考えたのでした。
早速、改良を加えた歩行支援機を病院のリハビリ室に運び、左半身に麻痺を抱えている加藤さんに試してもらうことになりました。
そして加藤さん(リハビリ患者)は、アクシブを足につけると、軽やかに大股で歩き始めたのです。
歩行機をつけた加藤さんは、「とても軽く感じるし、腰から自然に歩くことができました。」と喜びの表情を浮かべました。

理学療法の専門家に筋肉の波形をとってもらうと、歩行支援機を着けていない時は、筋肉に力が入りっぱなしで、常に疲れた状態なのに対し、歩行支援機を着けると力が抜けるところと入るところと波にメリハリがあり、二つを比べると足を振りだすとき、力が抜けているのが分かるので、歩行支援機を着けている方が楽に歩いていることになるのだということが分かったのです。
教授自身も、「寝たきり」になりそうな人が歩くことに感心を持つ一翼になるのならば、とても嬉しいことだと喜びます。

ここまでくるのに佐野教授は、毎日が実験と改良との繰り返しだったといいます。そもそも佐野教授がロボットに目覚めたのは、大学時代。最も難しい歩かせることに、夢中になったそうです。
動力とハイテクを駆使して歩かせようとしたが、思うようにならず万策尽きた時に、もしかして、ロボットはこんなふうには歩きたくないのではないかと思ったそうです。
たしていって複雑にしなくても、引き算のように本質的な物だけをまとめれば、たぶん簡単なことで、いろんなことができると考えたといいます。

動力もハイテクも捨てた佐野教授は、歩かせるのではなく、自分で歩くロボットの研究に、没頭しました。
毎日、学生達と汗をかきながら、ドロくさい研究を続けているうちに、ロボットを触る機会が増えた結果、ロボットから受ける感じが、足が弱った人達の体に直接伝えたら、歩行支援の助けになるのではないかと考えたといいます。

しかし、動力式のパワーアシストスーツや介護ロボットがこぞって開発される時代に、無動力歩行機は、明らかに見劣りしているので、リハビリ施設でも、頭から否定さるのではないか」と思ったといいます。
そして、思いきって持ちこんだ星成大学リハビリテーション部で、「こういうものを待っていたんです。」と目を輝かせた人が阿部友和氏でした
彼は、「佐野先生の考えのように、重心の移動によって動くというように、最小限のメカニズムによって動けるようになっているのだと思います。」と話します。

これをきっかけに、歩行の助けが必要な人達から、続々と問い合わせが入りました。
そのなかの一人、東京在中のユウスケさんは、交通事故で脊椎損傷を負って、一生車椅子生活と宣告された人物です。
しかもテレビ画面は、ユウスケさんがアクシブを装着して立って歩いている驚くべき姿を映し出していました。
ここまでくるのに、長い月日はかかりましたが、アクシブの可能性が映し出された場面でした。
この歩行支援機を着けると驚くほど体が楽になり、さらに人生まで変わったそうです。

佐野教授は、たまに歩行支援機の効果を確かめに、ユウスケさんに会いに行きます。
その日番組は、佐野教授がユウスケさんの通勤に同行する様子を写しました。
まず、バス停までの300メートル程の道を二人は、自然な速さで歩きました。
バスのステップもなんなく超え、シートに座ることもできました。
歩行支援機は、900グラムと軽量でコンパクトで邪魔にはならないのです。
そして、駅の長い階段も、問題無くスタスタ登れるといいます。
およそ一時間で会社に到着しても歩行支援機は着けたまま過ごすそうです。
モーター音が無いので、電話対応も周囲の気にもとまらないのです。

佐野教授は、「ユウスケさんにとってアクシブが、歩行のアシストから人生のアシストになっていると感じ取ることがてきました。」とその感想を述べました。

そこで佐野教授は、「歩行を助けることで、人生を支えたい。」と高齢者のための奇想天外な歩行機を作り始めたのです。
一般的な歩行機が主に腕の力で体を支えて歩くタイプなのに対し、佐野教授は広い視野から、ロボットと歩くことで、高齢者から歩く力を引き出すことに成功しました。
自然に体重移動をすると足踏みが始まり、足を振りだせるようになるというものです。

佐野教授は、岐阜県中津川市、SSP城山病院に、試作品を持ち込み、意思やリハビリのプロから意見を聞くことにしました。
佐野教授が開発したアクシブを改良した弐本足の歩行機は、実際に患者さんやスタッフも試して、歩き易いというプラスな評価もでれば、骨盤のボルトから膝にかけて安定性がほしいなどの教授が思いもよらなかった意見も聞くことができたのです。
これら全てが大切な研究対象であり、改良点となりました。
さらに、アクシブの軽量化にも挑みました。
本体の素材を炭素繊維で作り、片方で540g、両脚で1500gの軽量化に成功したのです。
この改良によって、アクシブの実用化に道がひらけたのです。
そこで、岐阜県各務原(カカミガハラ市の今仙(イマセン)技術研究所と共同で、アクシブの商品化に取り組みました。
その結果、医療、レジャー用として、日本において2014年9月9日に正式発売となり、2015年5月25日に、左右両脚用モデルが発売。
さらに、2015年9月にアジア、そして2016年9月には、欧米で販売を予定しているといいます。
アクシブの利点は、無動力による安全性、他の歩行機に比べ軽くて扱いやすい、静粛性が高いそして低コストなどが挙げられます。

しかし、このようにいいことばかりのアクシブですが、動力型ロボットスーツにも、優れた物が出てくるようになりました。
あとは利用する人達がそれぞれ自分に合った歩行機を選択する幅が広がることとそれに伴う福祉制度が整うことを願います。
チューリップ.jpg


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