So-net無料ブログ作成
検索選択

超やわらか食を知ってますか? [鎌倉つれづれ文]

私達の食生活は、冷凍食品やインスタント食品の登場によって大きく変わりました。
そのため、私達はおいしい物を手軽に口にすることができるようになりました。
そして最近、まったく新しい食べ物が発表され、注目されています。

その食べ物は、「超やわらか食」といいます。
食材の味と形は同じで、噛む力が弱くても舌の上で溶けるやわらかさが特徴です。
タコなど噛み切りにくい食材は、最大千分の一のやわらかさに調理できます。
そのやわらかさは、薄いパレットをのせて押すと形が崩れてしまうほどです。
しかも、肉は、肉、野菜は野菜の食感があることに食べた人は、みな驚きます。

「超やわらか食」は、二人の熱い志を持った人物によって誕生しました。
調理の開発を担当したのは、イーエヌ大塚製薬東京研究所升永博明氏(ますなが・ひろあき氏)です。
そして、食品の必要性を訴えたのは、栄養管理研究の第一人者で、藤田保険衛生大学の東口高志(ひがしぐちたかし)教授です。

酵素で作る「超やわらか食」は、離乳食や歯の治療後の患者さん、そして福祉施設の入所者への利用が期待されました。

しかしそれ以上に、この「超やわらか食」を切実に必要としている人達がいたのです。
それは、東口教授の患者さん達で、ミキサー食を食べている人達です。
ミキサー食は、一般の病院食がたべられない患者にたいして出される食事で、食材をミキサーにかけ、ドロドロにした食べ物です。

そのため、ミキサー食は、味も形もまるで別物になってしまいます。なかには、食べる気力を失う人も出てきます。噛みしめたくともドロドロのミキサー食にするしかないのです。

東口教授は、この現状を改善して、患者さんに物を食べる喜びをふたたび取り戻してもらおうと思っていました。
そして、オデンでしたらオデンの形のままで、舐めて味がわかるような食べ物が欲しいと関係者に要望したところ、誰にも相手にされずに、くやしい思いをしたといいます。

その頃、升永氏は東口教授の思いとはほど遠い、経腸栄養剤の研究をしていました。

経腸栄養剤とは、ミキサー食さえたべられない人の栄養剤で、チューブを使い、鼻などから胃や腸の中に直接栄養を流す、いわいる液体の栄養食のことをいいます。

経腸栄養剤の仕事に、誇りを持っていた升永氏でしたがある時、ミキサー食よりも食べやすく、舌の上で溶けるようなやわらかい食べ物を作れという人事移動がだされました。

これまでの実績とは関係のない分野で、始めから研究をやり直すことに、升永氏は、理不尽さとやり場のない憤慨を覚えたといいます。

そして、会社の方針に納得できないまま食べ物をやわらかくする研究を続けていました。
ちょうどその時、東口教授のミキサー食に対する切実な思いを聞いたそうです。

升永氏は、東口教授からミキサー食に苦労している患者さん達が食べているミキサー食を見せてもらい、「こういうものを食べているのか」と驚いたそうです。
そして升永氏は、自分の過ちに気づき、ミキサー食に対する考え方が一変したそうです。
さらに、これは、生半可な気持ちではできない研究だと覚悟を決めました。そこで升永氏は、今迄の経験から、酵素が鍵を握っていると考えました。人の体のなかには、無数の消化酵素があります。

唾液にはアミラーゼや胃液の中にはペプシンのように、酵素が存在し、消化を助けています。
胃や腸で消化できない場合は、野菜や果物も消化を助けてくれる心強い味方になります。

中華料理の酢豚のパイナップルや、人気のおかずであるしょうが焼きのしょうがは、タンパク質の繊維を切り、やわらかくする働きがあるのです。

ちなみに、大根には百以上の酵素が含まれており、特に大根おろしには食べ過ぎ、胃のもたれを緩和する働きがあるので、今も昔の人の知恵が生かされている例といえます。

「超やわらか食」は、消化という営みを味や形が変わる直前まで、皿のうえで事前にやっておくという考え方だと升永氏は説明します。

しかし、升永氏は、ここで壁にぶつかりました。
食材に塗った酵素が表面上だけ浸透して、中まで染み込まないのです。
しばらくして、升永氏がひらめいたのは、きゅうりの漬物。
キュウリについた塩はきゅうりの内部に入る代わりに水分を出します。kyuri.png
そこで、塩の替わりに真空状態を作ったところ、野菜の水分が泡となって出てきました。
そして、酵素をうまくしみ込ませることに成功しました。

早速、やわらかくなった試作品の試食を東口教授にしてもらったのですが、教授は、顔をしかめるばかりでした。
東口教授は、やわらかくなった食感ではなく、味付に納得できなかったのです。
そこで升永氏は、東口教授を納得させるため、日本料理店で板長を務める原さんを職員として採用しました。
原氏自身も当時、自分の料理を食べれない人がいることに、悩みを抱えていました。
披露宴や法事で、自分の料理がお年寄りが食べれないことを理由に、欠席する姿を見て、みんなが食べれる料理とはなんだろうと自問していたといいます。

そして教授に、「うまい」といわせるために、升永氏と原さんの数えきれない実験がはじまりました。
いつの間にか升永氏は味にうるさい研究者になっていたのです。

そして東口教授がついに、「うまい、満足」と納得できる試食品が誕生しました。
それは、ミキサー食に替わるやわらかくて、口の中で溶けて、しかも食材の形は、そのままという食品です。

実にこの食品ができるまで八年の年月がかかりました。
二人は、この食べ物を私は食べる(I EAT)と言う意味の「あいーと」と名付けました。illust_img_041.gif
「あいーと」はミキサー食を食べている人達に、大変喜ばれました。
例えば、三年間食事ができなかった女性は、久しぶりに物を食べて完食しました。

「口から食べることはあきらめていたのに、こういう食べ物を研究している人がいたことに、驚き、そして感謝の気持ちを表したい。」と涙を流しながら言いました。
ところが升永氏は、これだけでは満足しませんでした。

人々が食べる喜びを得てもらうまで、新しいメニューを増やすことに余念がありません。
そして、新しいメニューに考えた、「うな重」を調理して、東口教授の患者さん達に、届けたところ、口にした誰もが、「おいしい」と完食し、大好評だったそうです。
その中で、孫と一緒に食べることを楽しみにしていた、在宅療養中の鈴木さんは、久しぶりの家族との食卓に、笑顔で大満足と感想をもらしました。

病気や精神的ストレスで、物を食べられずに困っている人は、まだ大勢いるはずです。
そこで、「あいーと」が食べることに悩んでいる人達に、活力を与えることができれば、それぞれ意欲的な段階に進めるはずです。
また、「あいーと」は、新しいメニューを増やして、食べることに困っている人達に、この食べ物を普及することが、これからの課題だと思います。

全ての人がおいしく食べられることは、健康の目安であり、升永氏と東口教授の願いでもあるのです。これからの「あいーと」の広がりに、注目したいと私は思います。

コメント(0) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。